C D 評 (あ)の、男の子も勉強中! 耳と技術と音質!? 第11回 あいはら てつや ━ Last Century Modern/Towa Tei east west japan/AMCT-4444(¥2,940税込み) テイ・トウワといえば、YMO世代のデモテープ上がりのアーティストにして、 よくレコーディング系の雑誌では取り上げられる、というので私の覚えがめでた いひとりである。これまで、取り上げて来なかったのが不思議なくらいである、 と自分でも思う。まあ、そもそも「気にしながら聴かない」というのは私のクセ でもあったりするので、こういうモノを執筆でもしない限り、聴かないのかもし れない。どちらかといえば、電グルよりもお上品な感じのするテクノ系アーティ ストだ。 今回は、昨年7月に発売されたフルアルバムの「Last Century Modern」を紹 介しておこう。まずは曲の紹介より。 01.Last Century Modern 02.A Ring 03.Angel 04.Butterfly 05.Contact 06.CHATR 07.Stretch Building Bamboo 08.Congratulations! 09.Fuckin' For Jamaica 10.Let me Know 11.LCM タイトルからはたいして推し量れないかも知れないものだが、あまり具象的で なく、外向きのベクトルが働いていない感じのするタイトル。曲としても全体と しては、かなりコンパクトな空間内に音を廻すような作風になっている。という か、狭い空間を感じさせるつもりなのかもしれない、密着感のあるサウンドであ る。手を伸ばせば全体に届く距離感という感じなのである。また密着感はあるが、 あまりベタベタせず、乾燥している感じもする。 かなり単純なレトロなシンセサウンドと、基本波形からなる電気音をとことん 加工する、といった職人的な音と、エフェクトのかかったボーカルサンプル、部 分的にはクラシカルな音、こういったものをアジア人的なビートにのせていって いる、というようなウワベの解釈をしておこう。踊るためのリズムではない感性 が働いているように思われる。 音質を求める音楽ではないにせよ、音質はそこそこ、マスタリングはGoodといっ たところだろうか。 オレ度: 5 衝動買い度: 3 録音音質: 8 おすすめ度: 7 ━ FRESH BRASH OLD MAN/SMAIL RAMP キングレコード/KICS778(¥2,415税込み) ジャケットやオマケの全面に、アメリカンプロレスラー(しかも覆面)と興業 師(かな)を持ってくるというキカイさもあって、ちょいと買ってみたアルバム。 インディーズ方面では有名かつ、海の向こうでちょいと人気が出ているらしい、 スカとパンクをごはんにふりかけてかき混ぜて食す、みたいなテイストの日本の バンド。歌詞はオール英語。メンバーはボーカル(全員)、ギター、ドラムス、 ベースといったシンプルなところに、他の楽器はスタジオミュージシャンで、ト ランペット、サックス、トロンボーンといった、スカにかかせない楽器のサポー トが入っている。 たしかにラッパは鳴ってるし、ボーカルやリズムの基本的なノリにはクラッシュ みたいなテイストが入っているし、パンクといわれりゃ割とパンクなのだが、ス カのノリが随所に入ってきたりする。そんなわけで、かなり曲の雰囲気は明るい というか、ノー天気な感じがする。まあ、流行の安易な和製ヒップホップや単純 な70年代リバイバルものなんかと比べたら、音楽性も高く、新鮮だ。詞自体は あまり吟味していないが、歌われているのは、ビンボーな等身大の若者という点 では日本人的かな~という気はする。 01.B・M・W 02.DISH WASHER 03.UNLUCKY CHOICE 04.KISS MY FINGER 05.CALL ME UP 06.A PIZZA ALREADY 07.WILL 08.LITTLE KING 09.PIECE OF LUGGAGE 10.OVER THE LINE ミックス自体はあまり凝っていないし、ドラムのパンチも、やや足りなめ(こ れは録音自体がよくないのかも)。ギターの入り方だけが凝っていて若干浮いて るような感じもあるが、まあトータルにいって気持ちよいサウンドであることは 確かである。B・M・Wはシングルカットされているようなので、借りてみるのもい いだろう。 オレ度: 3 衝動買い度: 7 録音音質: 7 おすすめ度: 7 (EOF)